京都と滋賀の間に聳える比叡山。南端は如意ヶ岳にはじまり、主峰の大比叡ヶ岳と次峰の四明ヶ岳などの山々が連なる。その麓には琵琶湖が広がる。東海道五十三次の宿場は、大津から草津・土山、鈴鹿峠を越え、坂下、関を経て桑名に至る。伊勢への道は、関で東海道と別れ、津・松坂・山田へと続く。古く、斎王の伊勢群行もこの道を進んだ。伊勢と京を結ぶ、京街道である。京、大津へは、多賀・愛知川・守山と湖南を西に回る道もある。いずれも社寺参拝と名所旧蹟巡りの道筋である。近江を代表する比叡山と琵琶湖の周辺には、日吉神社や多賀大社などの神社や、延暦寺、園城寺、石山寺などの寺院が、角時代にわたって建立された。近江の地は、神と仏を欣求するところである。
(写真:延暦寺)