白砂青松を描く風光の地。北は山並み、南は海岸線。山の幸・海の幸に恵まれた豊穣の地。かつての山陽路に沿う播磨国と摂津国の一部を含む。摂津国は山陽道の播磨駅まで。ここから西の地は古く行く畿外である。「源氏物語」でよく知られる「須磨明石」という地名が特別のひびきをもつのはこのためだ。大阪湾に面した六甲山地にある神戸という地名は、平城天皇の御代より生田神社の「神戸(かんべ)」があったことに由来する。ここには由緒ある神社や各宗の寺院があり、背後の有馬とともに、多くの参詣者が訪れる。また、伊勢参宮、西国三十三ヵ所巡礼、四国八十八ヵ所遍路などの路標の地であり、巡拝者でにぎわってきた。なかでも、明石、赤穂は巡礼や遍路の行き交う瀬戸内海の要所である。
(写真:中山寺)